新年御挨拶


平成30年1月
日本肥料アンモニア協会
会 長 山本 謙







 新年を迎え、謹んでご挨拶申しあげます。
 昨年を振り返りますと、内外ともに波乱に満ちた1年だったと思います。
 米国では「米国第一主義」を掲げるトランプ大統領が就任し、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)や地球温暖化対策の国際枠組みの「パリ協定」からの離脱を表明しました。欧州ではイギリスのEU離脱交渉が始まりました。加えて、中国では5年に1回の共産党大会がありましたし、北朝鮮は水爆実験の強行やミサイルによる挑発を繰り返し緊張感が一層高まりました。
 一方、経済面では昨年10月に発表されたOECD(経済協力開発機構)は2017年と2018年の世界の成長率見通しを上方修正しました。世界的に経済は好調と思われますが、原油価格の上昇や、中国の環境規制強化など私たちの企業活動への影響も見られたと思います。
 これらの問題は、今年も継続するものと思われ、政治及び経済の両面に於いて不透明感は一層増していくものと覚悟が必要ではないかと考えます。
 
 アベノミクス効果によって我が国の景気動向は、いざなぎ景気を超え回復基調は継続しています。内閣は、アベノミクスの継続、デフレ脱却のための大胆な税制、予算、規制改革、幼児教育無償化、社会保障改革などの新しい政策パッケージを策定することを表明しました。また、日EU・EPAによる農林水産強化策を含む補正予算を編成する考えを示しました。様々な政策課題を抱えていますが、改めて成長戦略の実行を期待したいと思います。
 
 私たちの産業に密接に関係する日本の農業への影響が大きいのは、もはや異常とは呼べないほど毎年大きな被害をもたらす気象条件の変化です。
 地球規模でも自然災害が頻発しました。温暖化の影響か、頻発する異常気象やそれに伴う自然災害など私たちを取り巻く環境はより厳しくなっています。昨年、台風や前線の影響で甚大な被害を被ったのは記憶に新しいところです。
  
 私共は、アンモニアなどの関連製品から最終製品の肥料までを取り扱う幅広い業界ですが、対処すべき問題は山積しております。需給構造の変化によって、アンモニアの重要な川下製品であるカプロラクタム、そしてアンモニアの国内生産の縮小、関連企業の事業撤退など国産アンモニアの産業基盤は脆弱化しつつあります。
 
 一方、我が国の農業の現場では、農業従事者の高齢化、農地面積の減少、耕作放棄地の増加、後継者不足など、農業の疲弊化が進行しており、肥料需要も停滞しています。こうしたことから政府は、農業者の経営安定や収支改善を図るための施策をまとめた「農業競争力. 強化プログラム」を決定し、8月には農業競争力強化支援法が施行されました。
 これを受け全農は、農業改革の中で農家の施肥コスト低減に向けた動きとして、新たな手法を導入し、肥料価格の引き下げをめざすことを発表しました。
 
 政府・与党による農政改革の議論の中では、私共肥料業界に対しても様々な指摘が投げかけられました。私共は、これらの指摘を真摯に受け止めつつ、引き続き肥料の生産性向上と農家の施肥コスト低減に向けた不断の取組を進めていく必要があると思っております。
 低価格の肥料や、高品質で農家のニーズに即応した肥料の提供など、言わば二極化に対応出来るよう取組を進めていく必要があると思っております。
 
 世界に目を向けると、人口の増加に伴い、将来の食糧不足の懸念が払しょくされていません。世界の食料生産能力は、地球温暖化、砂漠化、農業用水の不足等様々なマイナス要因もあり、飛躍的な上昇は期待できない環境にあります。食糧消費が着実に増加する一方で、生産が不安定であるという構造的課題が深刻さを増す中で、農産物生産にとって不可欠な肥料の役割は今後ますます重要性が高まると予測されています。
 私共も食糧の増産確保のため、良質で高品位な肥料の提供で社会貢献できる企業として努力してまいりたいと思っております。
 
 昨年は大企業の巨額損失や破たん、製品データ改ざんなどが大きな問題になりました。大変残念ながら、私共業界も3年前発覚しました「肥料の偽装問題」では販売者、農業従事者及び消費者の信頼を損なったことは誠に遺憾な出来事でありました。改めてコンプライアンスの徹底を図り、一層の品質保全を図ってまいりたいと思っております。
 私共アンモニアおよび肥料業界には難問が山積しておりますが、その解決に向けて誠心誠意努力してまいりますので、これまでにも増して皆様方のご支援、ご協力を賜りますようお願い申しあげます。
 

以上