日本肥料アンモニア協会

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アンモニアのご紹介

アンモニアとは何か
アンモニア(NH)は常温では無色の強い刺激臭をもつ気体で、空気中に放出されると白煙となります。アンモニアは加圧・冷却により容易に液化し、液化したものは液安もしくは液化アンモニアと呼ばれています。アンモニアが液体から気体になる時に周囲から吸収する熱は水の次に大きく、種々の物質をよく溶かす性質があります。

水に溶かしたアンモニアは安水(NHOH)と呼ばれ、ポリエチレンやガラスのビンに小分けして販売されていますので、一般の人でも目にする機会があります。これに対し液安は通常パイプラインで送るかタンカーやタンクローリーで運ばれ、時にはボンベに詰めて取り引きされます。液安は空気と混合したり強い酸と接触すると爆発するため一般の人が直接目にすることはほとんどありません。
 
協会が取り扱う製品は、化学肥料(硫安・尿素)およびアンモニア系製品と呼ばれる各種の化学製品であり、一般の消費者には馴染みの少ない製品です。
 
身近にあるアンモニア製品のご紹介
しかしアンモニアは私たちの周りの多様な化学製品をつくる基礎原料の1つとして重要な役割を果たしていますので、その中から消費者の身近にある製品を2つ紹介します。
 
その1つは衣料品に用いられるナイロンです。ナイロンは〈カプロラクタム〉を原料につくられますが、その中間原料としてアンモニアが使用されています。ナイロンは繊維としてだけでなく、代表的な機能性プラスチックとしてタイヤコード、ギヤやベアリングなどの機械部品、キャブレーター用バルブやブレーキオイル容器など自動車部品をはじめ家電、建材、医療用品などに広く使われています。
 
もう1つはアンモニアとプロピレンからつくる〈アクリロニトリル〉です。アクリロニトリルはアクリル繊維やNBRと呼ばれる合成ゴムの主原料ですが、最近ではABS樹脂として、硬く丈夫でどんな色にでも光沢のある着色ができる特長を生かして、家電から乗用車の内外装、OA機器、住宅部品まで広い用途で消費者のニーズに対応しています。


アンモニア工業の特徴

アンモニア工業の特徴(1)
アンモニア工業は、硫酸やソーダなどとともに化学工業の基礎的分野を担っていますが、他の分野や外国と比べて次のような特徴があります。
 
肥料の生産を通じ、食料生産に深い関わりを持っています。
アンモニアは2016年時点において世界で約1億7600万トン生産されていますが、そのうち約8割が肥料用に消費されています。世界の人口は毎年1億人づつ増加しており、食料自給の確立が喫緊の課題となりつつあり、アンモニア工業の持つ役割は一層重要なものになっています。
 
合成繊維や樹脂など広範囲に利用され衣食住すべてに関わりを持っています。
わが国アンモニア工業も肥料用の消費を中心に発展し、わが国のみならずアジアの農業生産に寄与してきました。現在は衣・住に関連した合成繊維や樹脂など工業用消費に重点を移した構造になっていますが、肥料についても農業の多様なニーズに応えて品質や環境に配慮した供給の確保に努めています。
 
 
アンモニア工業の特徴(2)
アンモニアの生産と消費は、多くの場合、同一の工場(群)で行われます。
外国では多くの場合、アンモニアの大部分は、尿素やりん安などの肥料の生産に向けられますが、わが国では化学工業の高度な発展に支えられ、アンモニアを原料とする多くの化学製品が同一の工場で効率的に生産されます。
 
多様な原料を利用して、安定した供給と省資源に努力しています。
アンモニア工業も、他の素材産業と同様に原料を海外に依存しています。しかしアンモニアが多くの化学製品の基礎原料であることから、わが国では、海外 に依存する原料を多様化するとともに、自社や他の産業から副生されるオフガスを有効利用することにより安定した供給に努力しています。
 

アンモニアの生産






アンモニア製品の流れ






関連製品の紹介

アンモニアおよびアンモニア系製品の多くは、日常生活に直接関係のない化学製品ですが、法律により高圧ガス・危険物・劇物などに指定されているものがあります。
そのため協会では製品の取扱いや保管について製品安全データーシート(SDS)や容器警告表示のガイドラインを作成し、会員とともに事故防止に努力しています。
 
液安 安水
液安はアンモニアを加圧・冷却したもので、硝酸、尿素などのアンモニア系製品やカプロラクタム、アクリロニトリルなどの原料となるほかグルタミン酸ソーダなどの発酵用、火力電力で発生するN0xの処理用、鉄の表面処理用(酸化防止)などに用いる。安水はアンモニアを水に溶かしたもので、水酸化アンモニウムとも呼ばれ、医薬品、毛織物の洗浄、冷凍機の冷媒、生ゴムの凝固などに用いる。
 
硝酸
アンモニアを圧縮空気または酸素と反応させ水に吸収させてつくる。この段階の硝酸を希硝酸といい、これを濃縮したものを濃硝酸という。無色あるいは黄色を帯びた特異臭のある腐食性の液体。有機合成、ニトロ化合物、セルロイド、火薬、爆薬、染料、メツキ、写真製版、医薬品など用途は広く、またナイロンやウレタンの中間原料(アジピン酸、TDI・MDI)の製造にも用いる。
 
亜硝曹 硝曹
酸化したアンモニアまたは希硝酸をか性ソーダに反応させると亜硝曹(亜硝酸ソーダ)、硝曹(硝酸ソーダ)となる。亜硝曹は白色ないし微黄色の粒状または粉末で、発泡剤、金属の表面処理剤、熱処理剤、媒染剤、有機合成などに用い、硝曹は無色無臭、透明の粒状または白色の粉末で、ガラスの消泡剤、染料、火薬などに用いる。
 
重炭安
アンモニアと炭酸ガスからつくる無色透明の結晶です。ベーキングパウダー、製薬、消火剤、洗浄剤、医薬品、毛織物の脱脂、希土類の抽出などに用いられます。
 
硫安
一般的には白色の粒状もしくは粉末、無色の結晶や着色のものもある。主に化学肥料として使われ、代表的なアンモニア系窒素肥料として単独で用いられるほか複合肥料の原料となる。日本は世界でも有数の硫安輸出国であり、アジア諸国を中心に供給し、現地に多い硫黄欠乏による作物の品質低下を防ぐ硫黄含有肥料としても好評を得ている。過去にはアンモニアと硫酸を直接合成して生産したが、現在ではカプロラクタムなどと併産される。また工業用としてセロハン、皮なめし、酵母の培養、食品添加物などに使われる。
 
尿素
高圧下でアンモニアと炭酸ガスを直接合成してつくる。無色無臭の結晶でやや吸湿性がある。主に化学肥料として使われ、硫安と同様にアンモニア系窒素肥料として単独で用いるほか複合肥料や緩効性窒素肥料の原料となる。希薄な尿素液は葉面に直接散布する肥料となり、また反すう動物の飼料用に微量混入して用いる。工業用としての用途も広く、樹脂、染色用、医薬品、有機合成に用いる。ユリア(尿素)、メラミン樹脂は単独あるいは両者を共縮合した樹脂として、成形材料、接着剤、塗料、繊維・紙加工に用いる。メラミン樹脂を印刷紙に含浸させ加熱加圧してつくる化粧板は、硬く滑らかで耐水・耐熱性に優れ広い用途をもっている。
 
硝安
希硝酸をアンモニアに反応させた硝安溶液を濃縮・乾燥してつくる無色無臭の結晶。有機物の混入、加熱または衝撃により爆発する。火薬の原料、爆薬、花火、殺虫剤などに用いるほか、単独の肥料として用い複合肥料の原料となる。

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