日本肥料アンモニア協会

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家庭菜園での化成肥料の使い方

野菜や花を育てるには肥料が必要です。肥料の養分(栄養)、特に窒素、りん酸、加里の3要素をバランス良く吸収することで立派な植物が育ちます。
窒素は植物の体を作るのに必要な葉をつくります。
りん酸は花を咲かせたり、実を作るのに必要です。
また、加里は根の発達を良くするのに重要な働きをしており、化成肥料はこれら3要素を1粒の中にバランスよく含んでいる、使い安く安価な化学肥料です。


ご参考

肥料の選び方
1.肥料は、JA農協、JAグリーンや園芸店、ホームセンターなどで買うのが普通ですが、いろいろな種類の物が置かれていて、どれを選んでいいのか迷ってしまいます。家庭菜園をはじめてこころみる方は「即効性の化成肥料で、窒素、りん酸、加里の3要素を含み、それらの成分含有率が8%以下の低いもので、同じ%になっているもの」を選ぶのが一番安全で確実です。この条件にあうものとしては、窒素-りん酸-加里の成分量が8%-8%-8%、7%-7%-7%などの化成肥料があります。

2.肥料の袋の表側に肥料の種類や窒素-りん酸-加里の成分割合を書いてあるものが多くなっています。しかし、そのような表示がなかったり、肥料の素性をさらに詳しく知りたい場合は、袋の裏の保証票を見ます。これは、肥料取締法に基づいて表示が義務づけられているものです。どこのメーカーのものでも、記載されている成分は必ず入っていますので安心して購入できます。なお、この法律の取り締まり範囲外の資材(ほとんどの微生物資材や堆肥)には表示の義務がないので購入時に注意が必要です。
以下に、保証票の例とその意味、見方を載せますので参考にしてください。



この例では、窒素、りん酸、加里の含有率がすべて8%なので、略称で、8-8-8とよんでいます。この肥料1kgには、1000g×8%=80gの窒素、りん酸、加里が含まれていることになります。
(注)即効性の化成肥料の場合は、成分のほとんどが水に溶けるので、作物にすぐ利用されます。したがって、作物の施肥基準(後述)がわかれば、必要な施肥量が簡単に計算できます。一方、有機質肥料の場合は、成分の全量を作物が利用できるわけではなく、肥効もゆっくりと現れます。したがって、施肥量の計算は少し複雑になります。
(注)りん酸と加里は、これまでの慣例により酸化燐(P205)、酸化加里(K20)の%で表されています。したがって、リン(P)、加里(K)に換算すると8%よりも低くなります。



肥料のやり方
さて、肥料の選び方の次は肥料のやり方ですが、これは作物ごとに大きく異なっています。
まず、肥料の量ですが、これは多ければ良いというわけではありません。
長い間の試験研究や農家での経験から、一定水準の収量や品質を得るための肥料の量が作物ごと、地域ごとにおおよそ決まっています。
これは施肥基準とよばれており、なかでも窒素の施肥量が最も重要なものとされています。
窒素は作物育成の鍵を握る重要な要素だからです。では、施肥基準に基づく肥料の量は次のように算出します。
今、窒素の施肥基準値が30kg10aとします。これは10a(1000㎡)あたり30kg(30000g)の窒素が必要ということですから、1㎡あたりにすると、30000g÷1000㎡=30gとなります。
窒素30gを先ほどの例の8-8-8肥料でまかなうには30g÷0.08=375gが必要となります。
普通サイズのプランターでは、この1/3の125gぐらいが目安になります。
後に紹介する作物ごとの施肥量はこのように計算したものです。
施肥基準値は、農家以外の方が目にすることはほとんどないと思いますが、書店にある農家向けの技術書には出ていますので、参考にしてください。
なお、施肥量は、一般に窒素の施肥基準値にあわせて決めています。
従って、りん酸や加里の施肥基準値と多少ずれることもあります。 しかし、それらは普通あまり 問題になりません。
施肥量が決まったら、それをいつやるか、どんな配分でやるかを決めます。
肥料をやる時期ですが、基本的には、作物の種をまいたり、苗を移植するときにやる「元肥」と、作物の生育をみて途中でやる「追肥」の2通りがあります。
それぞれへの肥料の配分は、作物の養分吸収の特徴にあわせる必要があります。
例えば野菜では、生育のはじめに肥料の多い方がよいもの、少ない方がよいもの、常に肥料があった方がよいものなどに分かれています。


各作物ごとの栽培・施肥について





トマト
◆栽培のポイント◆
トマトは育苗が難しいので、苗はお店で購入します。茎の太さが鉛筆ぐらいで、がっしりし、1段目の花が咲き始めている苗を選びます。寒さに弱いので、関東地方では5月の連休に苗を植えるのが良いでしょう。連作を嫌うので、毎年同じところに作ってはいけません。標準的な栽培株数は、1㎡あたり2株、普通サイズのプランター(長さ60cm程度)では1株です。

◆施肥のポイント◆
トマトは収穫期間が長いので、肥効を長く維持する必要があります。また、生育初期に窒素分を多くやり過ぎると、茎葉は立派でも花や実がつかない樹になってしまいます。
肥料のやり方としては、元肥を少なくして、追肥で生育を維持していく追肥重点型となります。施肥配分は、全体の半分の量を元肥とし、残りを3回に分けて追肥とします。元肥は株の直下15-30cmぐらいのところに施肥溝を掘って入れます。定植した苗の根が直接肥料に触れると根が傷むので注意します。なお、トマトでは、石灰が欠乏して実の先端が腐敗することがあるので、基肥施用時に炭酸カルシウムを1㎡あたり200g、プランターでは50g程度、土によく混和しておくとよいでしょう。
追肥は、根元から20-30cm離れたところに行い、1回目は、最初の花の実がピンポン玉大になったときです。その後1月ごとに2回目3回目の追肥を行います。
肥料を計るのは面倒なものですが、はじめの1回だけはきちんと計ってください。そしてだいたいの目安をつけたら、後は目分量でやればよいでしょう。
あらかじめ、決まった容器に何g入るかみておき、いつもそれを使うのもよいやり方です。






ナス
◆栽培のポイント◆
ナスは果菜類の中では一番作りやすいものです。一度は栽培に挑戦してみましょう。苗は購入します。節間がつまってがっしりし、蕾のある苗を選びます。トマトと同様に寒さに弱いので、関東地方では5月の連休に苗を植えるのがよいでしょう。連絡を嫌うので、毎年同じ所に作ってはいけません。
ナスは樹が横に大きく広がるので、栽培株数は、1㎡あたり1-2株、普通サイズのプランターでは1株です。定植後、支柱を立て、主枝と上部2本のわき芽を残して3本に仕立てます。ほっておくとわき芽がいっぱい出てボサボサになるので、脇から出る芽は早めに取り、風通しを良くします。

◆施肥のポイント◆
ナスもトマト同様、収穫期関が長いので、肥効を長く持続させる必要があります。肥料のやり方は、追肥重点型となります。ナスは、多肥作物と言われ、トマトほど、肥料に気を使わなくてよい作物です。
しかし、窒素が過剰になると茎葉が大きくなり、着花不良になります。また、肥料がすくないと初期は着花がよくてもやがて成り疲れ、石ナスなどの異常果ができるようになります。
施肥配分は、全量の半分を元肥とし、トマトと同様に株直下15-30cmに入れ、残りを3回に分けて追肥とします。追肥時期は、最初の実がなくなりはじめたころで、その後は、3-4週間ごとに行います。肥料が足りなくなると、雌しべの方が雄しべより短い短花柱花が出ますので、それも追肥時期の目安になります。







キュウリ
◆栽培のポイント◆
キュウリは太陽と水が大好きです。日当たりが良いところで、十分にかん水して栽培します。関東地方では5月の連休に苗を植えるのがよいでしょう。
苗は、葉の緑が濃く厚みがあるものを選びます。トマトに比べ花が着きやすいので、作りやすい野菜といえます。キュウリはつる性で枝が次々と広がるので、栽培株数は、1㎡あたり1-2株、普通サイズのプランターでは1株です。地面に這わせないで支柱を立てて上に伸ばします。

◆施肥のポイント◆
キュウリはトマトと同様、収穫期間が長い野菜です。果実が次々と成り葉の負担が大きいので、こまめな追肥で肥効を維持する必要があります。
肥料のやり方は、追肥重点型となります。施肥配分は全量の半分を元肥に、残りを3回に分けて追肥とします。キュウリの根は、トマトに比べ浅いところに多く張りますが、元肥は株直下15-30cmの位置に入れ、根が深く張るようにします。
追肥時期は、1回目が定植から1月後、2回目が果実の収穫はじめ、3回目がその1月後です。追肥時期の判断は、巻きひげに勢いがなくなったり、細い感じがしたときです。

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