日本肥料アンモニア協会

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窒素肥料について

以下は海外での化学肥料の関係機関〔 (POTASH & PHOSPHATE INSTITUTE(米国ジョージア州)、POTASH PHOSPHATE OF CANADA(カナダ サスカチュワン州)、FOUNDATION FOR AGRONOMIC RESEARCH(米国 ジョージア州) 〕が作成した肥料の普及のための冊子「肥料の世界について知ろう-窒素・りん・カリウム-」を元農林水産省 農業環境技術研究所 資材動態部長 越野正義 氏に翻訳をお願いし『私たちの世界の窒素について知ろう』から抜粋を掲載します。
アンモニアと窒素肥料について
植物が無機養分だけでも生育できることを証明し、それに基づく肥料技術の基礎となる最初の本は、ドイツの化学者であるリ-ビッヒによって、1840年に出版されました。1842年にはイギリスのロ-ズが過リン酸石灰の製造を始め、すぐに化成肥料の原形であるアンモニア化過リン酸を作っています。  

20世紀初頭までの窒素肥料は、1809年にチリで発見された硝酸ナトリウム(チリ硝石)が主体でありました。しかし、「このような鉱石に依存していては急増する人口を養えない、空中窒素を固定する技術を開発する必要がある」と主張したイギリスのクルックスの演説(1898年)は有名です。このように窒素固定が要望されていた背景があって、フランクとカロ(ドイツ)は1906年に石灰窒素をイタリアで製造し始め、さらに、1913年にハ-バ-・ボッシュら(ドイツ)はアンモニア合成の工業化に成功し、近代化学工業が開花しました。

日本への石灰窒素の製造技術の導入は素早く、1908年に野口遵・藤山常一が日本窒素肥料会社を設立し、1909年には生産を開始しています。アンモニアの合成は導入技術を使って日本窒素肥料によって1923年に延岡工場で成功しました。国産技術でのアンモニア合成は1918年に農商務省臨時窒素研究所(のち東京工業試験所を経て化学技術研究所)で始まりましたが、成功するには1931年(昭和6年)までかかりました。

窒素は、空気中には約80%も含まれていますが、植物は、このガス状窒素をそのまま吸収することができません。植物が一部のタンパク様物質を吸収するという報告もありますが、吸収の主体はアンモニウムまたは硝酸の無機態窒素です。
空中の窒素をアンモニアの形で固定する方法がアンモニア合成です。アンモニア合成では水素が不可欠であり、水素を作るための化石燃料が必要となります。合成されたアンモニアは、窒素肥料や窒素を含む複合肥料等の原料として使われます。
化学肥料は、窒素、リン、カリの三成分を含む肥料が大勢を占めています。窒素肥料は先ず、空気中に約80%含まれる窒素ガスを原料にして、これと水素を反応させて合成アンモニアを作り、つづいて、合成アンモニアをもとに窒素量やその形態の異なる多様な肥料ができます。なお、窒素ガスは植物には直接吸収されないことから、ドイツのハ-バ-とボッシュによって開発された窒素ガスと水素の反応によるアンモニアの合成法が高く評価されたのです。また、水素は天然ガス中に含まれる水素を利用できるので、天然ガス由来のものが一番廉価な原料といわれます。

一方、石灰窒素は、世界で最初に空気中の窒素を固定してつくられた窒素肥料ですが、アンモニアを原料としていません。石灰窒素は、カ-バイトと窒素ガスの反応を多量の電力をかけて作ります。
ドイツのフランクらが1898年に実験室的に成功し、1901年にはすでに肥料としての利用が研究しはじめられていました。

私たちの世界の窒素について知ろう(抜粋)
この地上には1haあたり7,500万kg(75,000,000 kgだよ!)も窒素があり、君たちを押しつぶそうとしているって知ってるかい? 君たちのまわりの空気の80%近くは窒素なんだ。植物が生育するのには窒素がどうしても必要なんだけど、いちばん手近でたくさんある供給源である空気中の窒素を植物は利用することができないんだよ。
ここで説明しようとしているのは、植物が必要とするこの偉大な働きをしている窒素が、どうやって空気から植物に取り込まれていくのかということなんだ[ここでは窒素を化学記号でN(エヌ)と書いてることもあるよ]。
さあ、私たちの世界にある窒素について、もっと知るための冒険にでかけてみよう。

窒素ってなんだろう?(抜粋)
空気中に天然にある元素であり、植物がタンパク質、葉緑素(クロロフィル)、DNA、RNAや、そのほかの物質をつくっているものです。
私たちが呼吸している空気の約 80%は窒素です。
窒素はN(エヌ)ともよばれます。

地球のまわりには、1ヘクタールの地表面当たり約7万5000トン(75,000,000 kg)の窒素があります。でもこの窒素は不活性な気体です。

窒素には多くの化合物があります。土壌のなかの窒素の大部分は有機物に結合した形態です。この土壌有機物は植物や動物の遺体や分解したものから作られます。有機物中の窒素が植物によって利用されるためには、有機物は土壌微生物によってさらに分解される必要があります。植物が利用する窒素の大部分は肥料からきたものです。

窒素ってどこにあるんだろう?

窒素は、生きている細胞ならどんなものにも存在しているんだよ。植物、動物、そして人間のすべてに存在しているんだ。私たちはみんな窒素を必要としているんだ。
本当のこというと、窒素がなければ生命は存在しないんだよ。 窒素は、植物や動物のすべてのタンパク質の一部なんだ。ということは、窒素は人間の食べ物として絶対に必要なものだってことさ。また窒素は、RNAやDNAを作っているんだ。RNAやDNAは遺伝的特性を次の世代に引き継いでいく「青写真」になっているんだ。

いなずまは空気中の窒素を固定します。ある種の微生物は土壌中で窒素を固定します。工業的にも、毎年世界でなん千万トンもの窒素を肥料として固定しています。

土壌にはいろんな有機物があって、ほとんどは作物の残骸(ざんがい)なんだ。家畜の排せつ物や、庭の刈り芝や樹木の葉や枝を粉砕したものもあるし、人の排せつ物も農地に施用されることもあるよね。こういう有機物には植物の養分が含まれており、窒素もあるんだ。でもそういう養分が植物に利用されるには、まず分解(無機化)されなくてはならないんだ。
有機物は微生物の食べ物なんだ。微生物は食べ物を見つけてそこで生きているんだよ。
そうして微生物は分裂して、増殖し始めるんだ。
植物は、土壌中でおこっているこの小さなできごとのあとに残された窒素を利用できるんだ。土壌っていそがしいところなんだね。土壌のなかで、分解者である微生物は植物や動物、あるいは動物の排せつ物を分解しているんだ。微生物は窒素の循環をおこなっているだいじな役割をはたしているんだよ。でも、この窒素は他の形態に変えられない限り、植物は利用できないのです。

君たちは冒険にでかけるまえまでは、土壌は生きていて、いろんなもの---動物、ミネラル、野菜、人間がすてた廃棄物なんか---を含んでいるってことは知らなかったでしょう。土壌はそこに住んでいる生物でなりたっています。微生物は土壌を健康にし、そこで生育する植物にとって重要な役割をはたしているのです。


植物を収穫したのこりが土壌の微生物によって分解されることをなんて呼ぶか知っていますか?
無機化です。その無機化でつくられ植物が利用できる窒素のひとつはアンモニウムです。さらに別の微生物はこのアンモニウムを硝酸に変化させます。
硝酸は植物が利用できるもうひとつの形態です。この変化を硝酸化成作用(硝化)と呼びます。
ダイズ、アルファルファ、エンドウなどのマメ科植物は、植物が利用できる窒素を土壌 にのこすんだよ。根についた根粒に窒素が保持されるから、収穫後に作物体をすき込むと ね・・・

マメ科植物は根粒をつくり、そこにある種の微生物を住まわせて大気中の窒素をマメ 科植物(宿主)が利用できる窒素に変えています。
根粒は貯蔵した窒素を放出して、つぎに植える作物(ふつうは自分で窒素を固定できない)、たとえばコムギ、トウモロコシ、ワタ、トマト、ジャガイモ、レタスなんかに使われるんだ。

私たちのまわりにはたくさんの窒素があるけど、植物はその窒素をそのままでは吸い込んだり利用したりすることはできないってことを、わかりましたか。そこでこの問題を植物が解決したのが、窒素の固定です。
窒素を植物が利用するためには、まず固定されなければなりません。アルファルファやエンドウのようなマメ科植物はたいへんよく窒素を固定する作物です。固定する能力は作物によって同じというわけじゃないけどね。
一般的に、マメ科植物は根につく特別な根粒のなかに植物が利用できる形態の窒素を貯蔵します。この根粒が土壌中で分解すると、のこされた窒素がつぎに植える作物によって利用されるのです。なんて賢いんでしょうね?あるマメ科植物は、ほかのマメ科植物より、よけいに窒素を固定することができます。
植物には窒素が必要なんですよ。植物は窒素がなければ生きてられません。私たちは生きるために植物を食べています。私たちが植物を栽培するときには、畑の土壌のなかの窒素の量に注意し、豊富で健康な食品を育てなければなりません。

もし窒素について、ほうりっぱなしに注意をはらわなかったらどんなことになるでしょうか。
土壌中の窒素の量が植物を健康に育てるには低くなりすぎてしまったら、どんなことになると思いますか。

窒素は私たちの貴重な水資源を保護し、そして私たちの食品の供給を増加させているんだ。窒素が適切に施用された健康な植物は、雨や土壌中の水を効率よく利用するようになるんだよ。窒素を適切に与えた作物は欠乏する作物に比べて、同じ量の水で何倍も多い収量をえることができるんだ。また健康で生育の速い作物があると、雨水を多く土壌に吸い込むことができるので、侵食が減って作物の収量を上げる可能性が高くなり、水質の保護にもなるんだよ。

窒素欠乏
植物がこのような養分を必要としているってことは、君たちが食べ物で脂肪、炭水化物とタンパク質のバランスが必要だということと似ていないこともありません。

もし17の養分のうちのひとつでもなかったり、不足しているときには、植物は正常な生命活動の循環(種子の発芽、生長、開花、種子の生成、発芽で生命がつぎの世代につながること)を完結することはできません。そのときに、ほかの養分が十分にあったとしても、その養分は利用されないことになります。農家はむだになった養分におかねをはらったことになります。これが、養分のバランスを保って、品質のよい、農家の利益になる作物を育て、収量を高くすることが大切だということの理由です。

同じように重要なことは、植物への養分の供給を適切にしないと、環境にわるい影響を与えるかもしれないということです。環境に対して問題となりやすいのは、窒素(N)とリン(P)の二つの元素です。

窒素は硝酸の形で私たちの飲料水のなかに入ってくることがあります。肥料の窒素が本当に私たちの健康にわるい影響をしているとはわかっていないのですが、農家は適切な管理によって、悪影響が現れないようにしています。肥料は、食べ物の生産に貢献することによって私たちの健康に大切な役割をはたしているのです。
リンは、川や湖の水(地表水)の健康に影響することがあります。水のなかのP濃度が高くなりすぎると、水中の動物や植物に影響することがあります。
植物の養分はみんなでいっしょに働くんだ。チームになってね。窒素の場合、リン(P)とカリウム(K)は窒素の吸収や利用に役立っているんだよ。窒素だけを与えたり、ほかの養分とのバランスがわるいと作物の収量は低くなり環境に対する悪影響が現れる可能性もでてくるんだ。

窒素の量が少ないと収量が低くなり、農業がもうからないものになってしまうし、ほかの養分が川や地下水に移動する機会をふやしてしまうね。窒素はPやKとバランスよく与えることが必要なんだよ。

なん1,000人もの人が長い間、窒素のことを研究しています。その研究の多くは作物に対する窒素の施肥についてです。その結果、農家は安全で栄養が多く安い食べ物を豊富につくることができるようになったのです。私たちが楽しんでいるものはたくさんありますが、そのなかで安心できる食べ物以上にだいじなものはないでしょう。研究に感・・謝! 農家に感謝! そして窒素に感謝しましょう。
もし君たちがまだ作物の健康について関係ないと個人的におもっているなら、つぎのように考えてみてください。

君たちが健康なのは...
君たちが健康なのは、健康な食品を食べているからだよ。そして君たちが食べる食品が健康なのは...
食べ物を育てている農家は自分の土壌と作物のなかの養分の量を注意深く管理しているんだ。

土壌や環境に注意しないで貧弱な作物を育てることは、たやすいことです。しかしそれは賢いことでしょうか。ちがいますね。そんなことをしては、私たちや、つぎの世代にとって不利益となります。

窒素は植物にぜったい必要な養分やミネラルの17人のメンバーのひとりです。17人はみんなで力を合わせて植物や動物を健康に生育させています。

窒素 ホウ素 カリウム 硫黄 水素 マグネシウム 鉄 リン
マンガン ニッケル 銅 炭素 カルシウム モリブデン 亜鉛
酸素 塩素

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化成肥料について

化成肥料の位置づけ
肥料を分類すると無機質肥料(化学肥料)と有機質肥料に分かれます。そして無機質肥料は単肥(チッソ、リン酸、カリのうち一つの成分を含んだ肥料)と複合肥料(チッソ、リン酸、カリのうち2成分以上を含んだ肥料)とに分かれます。化成肥料は無機質肥料の中の複合肥料の一つです。


化成肥料とは
化成肥料は自然界に存在するリン鉱石やカリ鉱石などから作られます。化成肥料とは肥料のひと粒ひと粒の中にチッソ、リン酸、カリの3成分のうち、2成分以上を含む肥料のことです。

化成肥料は肥料成分の合計量によって15%以上30%未満の普通化成肥料と30%以上の高度化成肥料とに分けられます。

(例)
チッソ リン酸 カリ 成分合計値 区分
8% 8% 5% 21% 成分合計が15%以上30%未満なので普通化成肥料
14% 14% 14% 42% 成分合計が30%以上なので高度化成肥料


肥料袋の数字の意味

左からチッソ、リン酸、カリの順で含有率が表示されます。左の図の場合、チッソ、リン酸、カリが14%ずつ含まれていることを意味しています。
つまり、左の例では100gの中にチッソ、リン酸、カリが14gずつ、合計42g含まれると言うことです。




化成肥料が農家に届くまで



肥料工場でチッソ、リン酸、カリの3成分を混合し、造粒して製品にします


できあがった化成肥料は袋詰めされ、全国に出荷されます


化成肥料は窒素、リン酸、カリの3要素をバランス良く含んでおり、最も扱いやすく、しかも安価で、安全な化学肥料です。
  1. 化成肥料の品質として必要なのは、主に次の三つです。
  2. a. 有効な成分が、きちんと含まれている
    b. 有害成分がない
    c. 物理性がよい
    (肥料の粒が丸くそろっていること、適度な硬さで壊れないなど扱いやすいこと)
  3. 化成肥料は、安価で、成分含量が高く、品質が安定しており、輸送・貯蔵・施肥などのコストも安い。農家のかたが必要なときに必要な銘柄をいつでも確実に届けられる。

  4. 以上のような特徴のほか、化成肥料は含んでいる窒素、リン酸、カリの割合を変えることにより、作物の種類や品種、土壌などに最も適した銘柄が揃っていることから、日本で一番多く使われています。

  5. 化成肥料には、時代や農家の方々のニーズに沿った機械施肥に適した肥料や、環境により優しい緩効性肥料、省力に役立つ水田の水口施肥用肥料など機能性の高いものもあります。



  6. 肥料関係の法律


    肥料関係の主な法令には、

     肥料取締法
     地力増進法

    それに公害関係の基準として水質汚濁に係る環境基準等があります。

    肥料は農業在っての資材であり、肥料取締法も農業基準法関連の法律といえます。

    肥料取締法は、肥料関連の法令の基本であります。同法は、肥料の品質を保全し、その公正な取引を確保するため、

    1. 肥料の規格の公定
    2. 肥料の登録
    3. 肥料の検査
    を行い、もって農業生産力の維持増進に寄与することを目的としています。

    本法は明治32年及び明治41年に制定された旧肥料取締法を全面改正して昭和25年に制定されたもので、昭和58年に指定配合肥料、外国生産肥料の登録等に関する大きな法改正がありました。

    肥料は農林水産大臣の指定する特殊肥料とそれ以外のものの普通肥料とに分類され、農林水産大臣は普通肥料の公定規格を設定し、指定配合肥料以外の普通肥料は、農林水産大臣または、都道府県知事による登録を義務付け
    (指定配合肥料及び特殊肥料については、農林水産大臣又は都道府県知事に届出)、
    また立入検査は、農林水産省(肥飼料検査所)又は都道府県の肥料検査官又は肥料検査委員に行わせることとされています。


    肥料・土壌改良資材関係 法令については
    http://www.famic.go.jp/ffis/fert/sub1.html
    のページをご覧下さい。

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